グランドキャニオンの地質学


地質学的基盤

グランドキャニオンは、全長 277 マイル (466 キロ)、深さ 1 マイル (1,600 メートル) に及ぶ巨大な大地の割れ目であり、谷底から最上部まで色とりどりの地層に彩られています。 こうした地層は様々に異なる岩が層を成しているもので、地質学者たちの目から見ると、グランドキャニオンの歴史をほぼ完ぺきに推定できる年表の役割を果たしています。 広範囲にわたる分析によって地質学者たちは、グランドキャニオンの土台部分は 12 億年以上前に形成されたものと結論づけました。最初期の恐竜が登場するずっと前のことです。 その頃の地球の様子は、現在私たちが地図で見るものとはまったく違っていました。 今あるすべての大陸が「パンゲア」と呼ばれるひと続きの地形を形成していたのです。

パンゲアは、地質学者たちが大陸移動と呼ぶ現象によって、現在のような複数の大陸に分かれました。 地球の表面は、絶えず動き続ける 20 ほどの「プレート」で構成されています。 5 億 5 千万年前、パンゲアに接するいくつかのプレートが移動したことによって、大規模な地形の「分裂」が起こり、地球上に広く分散しました。 現在の各大陸がパズルのピースのように互いにぴたりとかみ合う形をしているばかりでなく、それぞれの対岸に当たる地域で同じ化石が発見されたり、同種の岩石が見られたりする事実によっても、このことは証明されています。 南米大陸とアフリカ大陸から同じ古代動物の化石が発見されたことで、ある時期にこの 2 つの大陸がつながっており、その動物が陸続きだった一帯を自由に歩き回っていたことが推測できます。

プレートは分裂して互いに離れるだけでなく、衝突することもあります。 衝突が起こるとプレートが強い力で圧迫されて地表が盛り上がり、山脈が形成されます。 ロッキー山脈、シエラネバダ山脈、カリフォルニアの沿岸山脈はこうして誕生しました。 数百万年前には、ロッキー山脈や、おそらくヒマラヤ山脈をもしのぐ標高を持つ山脈が存在していたはずです。 今はないこうした山々の跡がグランドキャニオンの土台となっています。

地球史初期のこの時代は、気候の変動が激しく、海面の上昇が頻発していました。 海面が上昇するたびに、山々はほとんど水没と言えるほどに、水に浸かった状態になりました。 海面上昇が起きて、山の岩肌が数百年間にわたって削られ続けることもありました。 その後水位が下がると、緩んだ岩盤が崩れて地面に落ち、層をなして堆積していきました。 数百万年の歳月をかけて山脈全体が削られ、堆積物となって平原にいくつもの層を作りました。 こうして築かれた堆積物の層が現在のコロラド高原です。 この大規模な地形変化が海洋の動きによるものであることは、2 つの根拠から地質学者たちの間で異論なく認められています。 コロラド高原の地盤を構成している岩が、海の底にあるものと同一であることから、プレートの衝突が起きた時に海底の岩盤が押し上げられて、古代の山脈を形成したと考えられています。 さらに、先史時代の海洋動物の化石がコロラド高原の岩層から発見されたという事実があります。 地質学者がそれぞれの地層の形成に要した年数を推定することは可能ですが、岩層の中に大きな割れ目があるため、各層がどのくらいの年月をかけて形成されたものかを正確に判断することは困難です。

ところでグランドキャニオンはどのようにしてコロラド高原に出現したのでしょうか?

その答えもまた、侵食です。

6,000 〜 7,000 万年前にロッキー山脈が誕生すると、山々の西側に流れ出た水がやがてコロラド川となりました。 数百万年の間、コロラド川は幾度も進路を変えながら、高原の中を蛇行して流れ続けましたが、その間、川の下の大地にも変化が起きていました。 地球のプレートが再び動いて高原の地面が西側に傾いたのです。 傾いた地面に加わった重力によって、西へ向かう水の流れが加速しました。 速度を増した水流はグランドキャニオンの地面を侵食し始めました。

続く 500 - 600 万年の歳月をかけてコロラド川の急流が地表を削り、高原の堆積層の断面を少しずつ露出させていきました。 これらがキャニオンの岩壁に広がる縞模様です。実に 40 近い岩層が確認されています。 最も深い岩層は、ヴィシュヌ片岩と呼ばれる 17 億年前の原生代前期の結晶質岩でできています。 グランドキャニオンを訪れる人々は、縞模様に飾られた岩壁の壮麗さを目の当たりにするだけでなく、ほぼ 20 億年の歳月をかけて自然が作り上げた最高傑作の上に立つことになるのです。

豆知識

グランドキャニオン内にある岩層は 17 億年から 2 億 4,500 万年前までのもので、最も古い層は先カンブリア時代に形成されています。

チンリ層とメナブ層には中生代 (2 億 4,500 万 ~ 6,600 万年前) の化石が非常に多く見られます。 現在までに、石化林、大型・小型恐竜、肺魚、腕足類、サンゴ、軟体動物、ウミユリ、魚の歯、ワニ類などの化石が見つかっています。

ペルム紀 (2 億 8,600 万 ~ 2 億 4,500 万年前) の爬虫類の化石も、ココニノ砂岩の中に埋まった状態で発見されました。

「ヴァルカンの金床」 (リバーマイル 178) は、コロラド川の流域内にある死火山の中心部分です。 「ヴァルカンの王座」にほど近い、川の北側のラヴァ・フォールズが見渡せる場所にあります。 グランドキャニオン内に多く見られる火山の中心部跡の中でも最大規模の噴石丘です。

マーブル・キャニオンは大理石 (マーブル) を含んではいません。 この名前は、石灰石とハーミット頁岩からなる光沢のある岩壁に由来するものです。